りんごの普通木栽培とワイ化栽培の違いとは?
 
  今皆さんに食べられているりんごは、すべて接木によって繁殖されています。りんごに限らず、果樹を増すため接木は昔から行われていました。樹の根にあたる部分を台木といい、地上部分にあたる穂木といいますが、すぐれた台木には接いだ穂木との相性がよく穂木をりっぱに生育させる要素が求められ、また、根が病害虫に強いことなども求められました。現在一般的な台木は「マルバカイドウ」が用いられています。この「マルバ台木」に穂木を直接接いだものが普通木栽培です。当然大きな樹になります。

 これに対して、ワイ化栽培は文字のとおり木をわい性化(コンパクト)させる仕立てかたです。これは穂木をひ弱で小さく育てる台木(M26、M9、JM台)を利用する訳ですから、当時の台木の研究者にしてみれば、落第生の台木だったのです。しかし現在では研究が進み、これら問題点も解決し、今日のワイ化栽培が確立され、果樹の高さを低くし、植え付け密度を高め、作業効率や生産量を高めることが可能となりました。果樹農家の高齢化により、大きな脚立を移動しての作業が、大幅に軽減できるようになったのです。また整然と列状に、木を植えることから、機械化にも適した栽培といえます。

 ただし、木自身の持っている力が弱いため、木の寿命も25年程度と普通木の半分から1/4位しかありません。また根の量も少ないために、台風や気象災害に弱く、木が倒れないよう1本1本支柱を立てたりする必要があります。ちなみに開園費用は10アール当たり50〜100万円もかかります。

 また、普通木栽培と比べ列状に植えるために、木々全体に太陽光がまんべんなく入るので、おいしいりんご作りに必要不可欠な光合成が十分行われるのです。


    

普通木栽培         ワイ化栽培