果物の中で、最も古い歴史のある作物が「ぶどう」です。今からおよそ1万年も前から栽培されていたと言われています。ぶどうには大きく分けてヨーロッパぶどうとアメリカぶどうの2種類に大別されます。ヨーロッパぶどうは紀元前4000〜3000年頃に中央アジアのカスピ海南部からトルコにかけて栽培されたのが始まりです。もう一方のアメリカぶどうは北アメリカ北東部からカナダ東南部とされ、耐寒性、耐病虫性があります。
この2系統の品種は性質が異なり、栽培方法も変える必要もあります。
ただし、これらは現代ぶどうの先祖品種であり、世界各地には野生の山ぶどうも自生していました。現在、日本で栽培されているほとんどの品種は、アメリカぶどうの交雑品種です。
ぶどうは世界で一番生産されている果物で、そのうちワインなどの醸造用に80%、残りはジュース、ジャム、ゼリー、干ぶどうなどに加工されています。日本はほとんどが生食用ですよね。
その昔、ヨーロッパではぶどう果汁を「畑のミルク」、「植物のミルク」と呼び、おもに薬用として栽培されていました。中国では漢方薬のひとつとして広く愛飲されていたようです。
日本へは717年に僧侶が中国から導入したものと、1186年に山梨県で甲州種が発見されたのが最初と言われています。
日本のぶどうの主産地は山梨、長野、山形、岡山などあげられますが、山梨県ではデラウェア、長野県では巨峰というように地域によって、気候風土の違いから主力とする栽培品種は違いがありました。現在は一部品種を除き、巨峰、ピオーネなどの、大粒、大房ぶどうが主体になっています。 |